昨今、建設業界では「CCUS」というキーワードに注目が集まっています。同じCCUSという頭文字を合わせたものが2つ存在しています。同時期に、同じCCUSなるもの2つも流行ると、ややこしいですよね?どれがどれで、何が何なのかさっぱりわかりません。そんな方に向けて、ザックリ特徴を解説していきたいと思います。区別できるようになっていただければ幸いです。
① CCUS↓↓↓
「Construction Career Up System」
建設キャリアアップシステム
【内容】一つ目のCCUSのコンセプト
建設業に従事する技能者一人一人に ICカードを配布して、 就業履歴や保有資格などの記録を管理するシステム
建設業に従事する方々は様々なスキルをもっています。このカードの中には、、、技能者本人の情報(住所、氏名等)、社会保険加入状況、建退共手帳の有無、保有資格、研修受講履歴などを登録することができます。
これまでの建設業界は各個人がどのような、資格や技能を保持していてるか、はっきりとわかりませんでした。あくまで自己管理して提示するものでした。しかし今回のカードは、個人スキル内容がすべてわかる統一されたカードとなりそうです。
新規入場者教育時
新規入場者教育という名目で、新規に現場に入られる方に対して個人情報を記載してもらい、事務手続きを行います。そこから、各資格証を実際に確認して、この人は、この資格やあの資格を取得されているからあの作業は可能なんだなーとか、この人は、建設業界に入って間もない人なんだなー高齢だなー、経験年数浅いなあー、危険だなーとか。こういう、一応現場へ入られる方の人となりを確認します。
この新規入場者教育自体は、現場の危険個所や、規則やルールを伝えるためにも絶対必要ですが資格証をコピーしたりスキャンしたりといった”事務手間の低減”につながっていくシステムとしての役割があると認識しています。
建設キャリアアップシステムに登録し、技術者としてのカードを持つことで、それらの情報がカード一枚に収まっているため、簡単に確認することができる。そういうものであります。また、過去にどの工事に従事したのかの就業履歴なども蓄積されていくようです。
現場に備え付けのカードリーダーにタッチ!
帰るときもタッチ!
これで履歴が残ることになります。
土木作業員の全国統一タイムカード的な役割ですね。
今後の建設業従事者の必須アイテムになるような存在のシステムが、導入されてきている。といったところでしょうか?
実際に私もカードをもっていますし、今後始まる工事で管理側としてしっかりと運用してみたいと思っています。☆(←将来リンク作って貼る用のアンカー打っておきます。)
各下請け業者さんが、CCUSに加入手続きを済ましていればスムーズですが、これらの手続きが済んでいなければ、現場として完璧な運用ができませんので、まだ加入できていない業者さんは大きな業界の流れですので、乗っかって、建設業の発展に寄与していきましょう。以上です。
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続きまして
② CCUS↓↓↓
「Carbon dioxide Capture Utilization and Storage」
「カーボン デオキサイド キャプチャー ユーティリゼーション アンド ストレージ」
脱二酸化炭素への取組
表現1→(カーボンニュートラル社会の実現に向けた取組)
表現2→(二酸化炭素回収利用貯留)
【内容】二つ目のCCUSのコンセプト
人為起源のCo2の大気への放散量を低コストで大量に削減 (望むらくはギガt/年オーダー)することがミッション。 気温上昇抑制目標への実質的な寄与を目的としている。
なるほど。
二つ目のCCUSは、二酸化炭素の放出に対しての取組です。
地球温暖化が深刻化してきている中、今後、人類として、この地球環境をどのように守っていけるかという岐路に立ちっぱなしでは何もしていないのと同じです。私たち一人一人の意識と行動によって、排出、放出が減らせるのがわかる一方、我々は常に、自己中心的に生活を守っていかなばならないジレンマの中に生きていることになります。居合道の教えの中にも、「相反することを同時に行うのが居合道」と言う言葉が出てまいりましたが、二酸化炭素排出に対しても、相反することを同時に行わなければ、その間合いは詰めて行けず、アドバンテージをとれないことになってしまうでしょう。
状況は不利
二酸化炭素の排出量が圧倒的に多い状況。この不利な状況を作り出したのも、我々人間。
原因自分論から考えて行けば、これらの問題も、”あくまで自分が原因だ”というところに落とし込んで、今後の生活に当てはめていくことが、できなくはありません。それが、我々一人一人が後世に繋いで子孫を残していく上で、「取り組むことができる事」なのではないでしょうか。
自分の生活の中での小さな取組を具体的に考えてみると、環境保全に寄与できる。そう思います。
目に見えない成果
しかし一方で、誰かが行っている、脱二酸化炭素への取組がいかに素晴らしくても二酸化炭素が減っている姿は決して目に見えません。これはもう精神論に近いものがあるなぁと感じています。
心の中に、地球温暖化対策をもっているか否か。
あろうがなかろうが、何事も目に見えない。逆に、何の話?ってなるくらいの事かもしれませんし、詐欺なのかもしれません。脱二酸化炭素詐欺。息をするなという事でしょうか?そのくらい、実感を持てないものになっています。
感じられる変化
実際、肌で感じるのは、気温の上昇と、近年のゲリラ豪雨などの気候の変化。土木の仕事を続けているとこれらは敏感に感じることができます。台風の発生の仕方などは、年々雰囲気が違ってきているようにも感じますし梅雨時期が感覚的にずれていたり、これらの微妙な変化が地球温暖化に関連したものだと言われれば、そうなのだろうなーと思う節があったりします。
CCUSは実際何をしたいのか
CO2をどのように利用しようとしているのか確認していきます。
①直接利用
- ”ドライアイス”や”溶接など”に直接利用する
②EOR(原油増進回収技術)
- 油田地中にCO2圧入→押し出される油を回収
っていう発見がありました。
③カーボンリサイクル
- 化学品 (ポリカーボネート・ウレタン)
- 燃料 (微細藻類バイオ燃料など。CO2と光合成利用)
- 鉱物 (コンクリート製品・コンクリート構造物)
- その他 (貯留部門+燃料部門=ブルーカーボン←これらはネガティブエミッション)
複雑な取り組みになります
現在~2050年あたりまでの流れを想定してCO2を減らしていく試みのロードマップが作成されています。状況に応じて見直しながら進めていこうという目論見です。
一般人にとって、こういう部分ははっきり言って、なかなか実感がわいてきませんが世界中のお偉いさんが集まって、長期目線を持った取組を進めようとしているのですから、きっと方針としては、これが最善といったものなのでしょう。
我々、土木技術者としては、現場において、どのような取り組みができるかを考え、工事にフィードバックしてゆくことを視野にいれ仕事していくこと自体が、脱二酸化炭素への取組になると考えます。
意識して運営していれば、何かしらの閃きがあったりもするはずです。次の工事にも何らかの手段で脱二酸化炭素のチャレンジを取り入れたいと思います。
それでは最後にこのCCUSはSDGsのどれに当てはまるのかを見ていきたいと思います。
SDGsのどれに当てはまる?
一つ目:9:産業と技術革新の基盤を作ろう。
産業から排出されるCO2は増加することで環境を破壊してしまいます。CCUSによって回収して、貯蔵して地球環境をサスティナブル(持続可能)な状況を作っていくこと自体が、これからの大きな安定した技術革新の基盤と言えます。
2つ目:11:住み続けられるまちづくり。
CCUSの役割として、CO2の排出削減に成功すれば、これらの目標も結果として持続して行けることに繋がります。
3つ目:12:つくる責任 つかう責任。
CCUSの仕組みを取り入れることにより、持続可能な消費と生産のパターンを確保することにつながる。作りっぱなし、使いっぱなしではない、回収利用迄を視野に入れたプロダクト生産パターンを確保する。これからのスタンダードになるところではないでしょうか。
4つ目:14:海の豊かさを守ろう。
これに関しては、貯留といった内容で、なんだか、悪いものを海に沈めていく行為になる気がしてなりません。CO2を利用する行為は意外と前向きな内容となっていると思われます。ですが、貯留に関して海は開発対象です。「汚しているのではないですよ。あくまできちんと開発していますから」といった、開発に必要な大義名分をサスティナブルに肯定するための目標なのか?とも考えてみました。
実際は、”海が二酸化炭素を吸収する”という事実があります。地球全体でみると吸収する部分と放出する部分とが存在するようです。深堀していくと学術文献になっていきますので簡単に説明すると、海にCO2を貯留して、植物プランクトンなどが、そのCO2を光合成により消費する仕組みを利用するようです。海を汚しているように見えますが、上手にお付き合いさせてもらうことで、サスティナブル(持続可能)な運営ができていくといったところでしょうか。
まとめ
同時期に現れた2つの「CCUS」ですが、一旦理解してしまうと、なんてことはありません。結構”頭文字の言葉”を好きになるか、ならないかで、知識に対するハードルは上げ下げできると考えています。今回の話に関しても、「それは何ですか?」って単純な疑問から、調べるに至ったのですが、こういう情報は、自分で回収して利用して脳に貯留して、再利用していくことが賢明なのでしょう。
今日のところはここまでと致します。
何か興味がわいたものがあれば皆さんも調べて、
深めていきましょう。
今日が人生で一番若い日です。
回収して、利用して、脳に知識を貯留して
最大限に生かしてやりましょう!!
ではまた!